スーパーシニアツーリング1 岡山 般若寺温泉
少し前の企業戦士達が世の荒波に揉まれ、疲弊した老体を引きずりながら
若き頃の自分の姿を思い浮かべ、あの時代に溶け込んで行く。
オッサン達の黄昏模様と、未だ少年心が同居する摩訶不思議な旅物語。
こぶしが咲く山々に包まれ、草花が芽をふく般若寺の春。
懐かしさ漂う藁葺き屋根にオッサン達もひと時の安らぎを覚える。
ここがお寺とは誰が知りえようか、修行僧の旧宿坊らしいが現在は
一日二組の限定宿として素朴さを売りに家族で営んでおられる。
そんなのどかな宿を贅沢にオッサン達は貸し切りとした。
お宿のご主人が春の匂いと自慢の景色を一生懸命伝えています。
遠くに見ても後姿はやはりオッサンだ。
余りの一生懸命さにオッサン達には少々不安がよぎりました。
宿としての機能に不審感を抱きながら恐る恐る部屋に入った。
心配は一瞬に払拭された。裏窓には清流吉井川のせせらぎ。
表窓の障子を開けるとそこには桜に包まれた絵のような母屋。
趣のある和室や設えに疑い深いオッサン達もここでひと安心。
どうか豊かな老後が過ごせますように!
切実な思いを願うのはオッサン達に共通した願望である。
賽銭も供えたので一応安心かな?
俺も大枚突っ込んだぞ!!
これで老後は安泰や!
この世の仏頼みはなかなか成就せん。
そう言うことで俺は賽銭を納めんぞ!
賽銭を未納した分ちょっと温いわ!
わぁー!! 賽銭が足らんのか!
御仏のお怒りや!!
神仏にはいずれお世話になるからね。
なにを騒いどる!! 露天はええぞ~
どうや! ドァーは無いし最高や!
それにしても心和む景色や!
もう少し湯温が高いと言うこと無し。
それを言うな賽銭を未納しとんやから!
納めざる者には湯も冷ややかや。
2本ある源泉は38度と40度たしかに年老いたオッサンには物足りない。
目の前の吉井川の水量によって湯温は変動するらしいが、オッサンではなく
水も滴る美しい女性ならば自然も大いに喜んで応えてくれただろう。
やはり技研の綺麗どころを連れてくればよかったか。
おーい内湯と替われ! 寒い寒い!
ちょっとだけよ!! あんたも好きね。
古いギャグをいつまでも使うのがオッサンの特徴でもある。
ドァーを壊して何事も無かったように湯に浸かるこの厚かましさ
これはオッサンの最大の武器かも知れない。
可憐な藤色の灯台ツツジが吉井川の翠と美しく調和している。
お楽しみの今宵の宴の刻がまいりました。
障子を引き寄せ自然の絶景を眺めながらの贅沢な宴が始まります。
拘りのスタイルこれもオッサンには欠かせない。
秘境の宿を取り巻く山々が育てた旬の食材で造られる料理の数々
美しく仕上げられた薄味は、くたびれたオッサンにはたまらない。
悠久の乾杯!
この世代はどんな試練が待ちうけようと、諦めずに常に夢を追い貫く
そんな一途な思いが髪の色を白く彩る。決して伊達ではない。
決めた道を迷うことなく、真剣に自分自信に勝負してきたオッサン達だが
老いてもその表情には確立された自信がみなぎる。
しみじみ語る人生に、愚痴もこぼさず聞き入る琥珀の麦酒。
弥生の夜空に浮かび上がる桜と藁葺きが実に幻想的で美しい。
背中を丸めてストーブに寄り添う。 これぞ究極のオッサン印。
就寝時間もやたら早いのがこの世代の最大の特徴かも知れない。
お疲れ様ごゆっくりお休みください。
白い桜と清流吉井川のせせらぎが山の朝を告げています。
懐かしい故郷の味と香りが漂ってきました。
故郷のおふくろの味に感激するオッサン達です。
素敵なおもてなしをありがとう!
感謝の気持ちを常に忘れずに、この世代は辛抱強く優しいのだ。
別れを惜しんで可愛いお婆ちゃんと一緒に。
また来てくだされや!
なごり惜しいので振り向かずに来た道を登るオッサン達。
そんな後ろ姿を見えなくなるまでお婆ちゃんは見送ってくれました。
一概にオッサンと言うがその境地に達するまでは、人生の辛酸を舐め尽くし
決めた道を不撓不屈で自分と戦いながら築き上げてきた。
オッサンは素晴らしい存在なのだ。そもそもツーリングなのに二輪が一度も
出てこない。当然であるオッサンは自分のバイクを誇らしげに自慢はしない。
大人だから。
企画制作 技研クリエイティブ工房
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